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WebFrog Blog 1.02
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2017/02/13(Mon)
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SCHOOLLIFEE4_1 バレンタイン
次回は短編集にしようかと思って書いていたバレンタインネタです。 相変わらず校正前のものですが、一応ラストまで。
バレンタイン
「今年はカカオからチョコレートを作るわよ!」 去年のような失敗はしないわ、とミレイが気勢を上げる。 「何を言っているんですか」 そんな彼女に向かってルルーシュがあきれたような視線を向けた。 「バカなことを言い出す前に書類をかづけてください」 「バカなことじゃないわよ」 ルルーシュが歯牙にもかけてくれなかったからか。ミレイがむくれたような表情でそう言い返してくる。 「バカなことです。どれだけの労力がかかると思っているんですか!」 それとも、とルルーシュは冷たい視線を彼女へと向けた。 「会長が全部手作業でしてくれるわけですか?」 彼はそう続ける。 「ちなみに、どんな作業があるの?」 シャーリーが興味津々といった表情で問いかけてきた。 「チョコレートの作り方、でいいんだな?」 その言葉にシャーリーが首をかしげる。 「他に何かあるの?」 「……会長のことだから『カカオの栽培から始めたい』と言い出しかねないからな」 その言葉に他のメンバーも納得したような表情を作った。 「ちなみに、その場合、完成までに五年近くかかるからな」* 目を輝かせ始めたミレイに気付いたのだろう。ルルーシュがそう言った。 「じゃ、カカオを買ってくれば自力で作れるの?」 「やり方は調べれば出てくるからな。とりあえず、カカオのみをバナナの葉に包んで発酵させ、余計なものをとるのに二週間か。それから手作業で分別、粉砕、焙煎まで出来るかどうか。その後でさらにすりつぶして、ようやくココアペーストが出来る。それをブレンドして味付けその他をしてようやく俺たちが知っている《チョコレート》になるわけだ」 昔は人力でやっていたのだから、不可能ではないだろう。ルルーシュは続ける。 「問題は、そのスキルが俺たちにあるかどうかだが……去年のことを鑑みるに『ない』と言っていいだろう」 「……何があったの?」 おそるおそるスザクが問いかけてきた。 「市販のチョコレートを湯煎するだけの作業で何故か壁をコーティングしてくれてな。他ににもテンパリングに失敗して分離させてみたり、何故か歯が立たないような物体を作ってくれたりしたな」 スザクがくれたチョコレートで作るハウスのモールドを使おうとして、とルルーシュはため息をつく。 「この前のハロウィンでの惨状を思い出せば、みんなの調理能力が上がっているとは思えないし……」 また材料を無駄にするだけではないか。ルルーシュは言外にそう告げた。彼の指摘が的を射ているのか、誰も反論をしてこない。 「どうしてもと言うなら、市販のチョコレートにデコレーションをするぐらいでいいのでは? それならば費用的にもなんとかなりますし」 見た目も可愛いと思うが、と彼はそう付け加えた。 「そのくらいなら、私でも出来るかな?」 ニーナがそっと問いかけてくる。 「もちろん。一つ一つの大きさを小さくすれば、たくさん作れるしな」 多少のミスもごまかせる、と微笑んで見せた。 「もっとも、会長次第だが」 彼女がそれで妥協してくれなければ、別のものを考えなければいけないだろう。ルルーシュはそう言いながらミレイへと視線を向けた。 「……それでいいわよ、とりあえずは」 でも、と彼女は続ける。 「去年のリベンジをするわ! 全部チョコレートで作ろうとするから失敗するのよ。クッキーで土台を作ればいいんだわ」 何か斜め上に進んだような気がするのは錯覚だろうか。 「俺は手伝いませんからね」 ともかく、最初に宣言しておく。 「生徒会から配るチョコレートの準備だけで手一杯です」 こう言っておけばミレイも文句は言えないはずだ。 「そうですね。全員にある程度の数を久原となれば、千個じゃ足りませんか」 スザクがフォローするようにそう言う。 「マジで? それ、ルルーシュが一人で作るわけ?」 慌てたようにリヴァルが問いかけてくる。 「大きめに作って、それをカットすればいいかな、と。それだけならさほど難しくはないだろう。もっとも、数が数だから時間勝負になるがな」 スザクも手伝ってくれるだろうし、といいながら視線を向けた。 「猫の手よりはマシな程度には手伝えると思うよ」 即座に彼はいい笑顔でうなずいてみせる。 「まぁ、クッキーの生地をこねるだけならばシャーリー達でも大丈夫じゃないかな? カレンも計量さえしっかりとすれば失敗しないだろうし」 ミレイを安心させるようにルルーシュは続けた。 「……他の材料を手元に置かなければいいのね?」 「そうです」 「なら、多分大丈夫だと思うわ。ルルちゃんには迷惑をかけないようにするから」 そうあってほしい、と心の中だけでつぶやく。 「カレン」 そんなルルーシュの隣からスザクが呼びかけた。 「……クッキーぐらいなら、材料さえそろっていれば大丈夫よ……多分」 視線をさまよわせながら彼女は言葉を返してくる。 「そうあってほしいよ。いろいろな意味で」 失敗作の処理は自分たちでお願い。そう言うスザクは容赦ないのか。それとも周囲にばれないように時を使っているのか。どちらが正しいのだろう。それはわからないが、わからないままにしておいた方がいいような気がするとルルーシュは思う。 「大丈夫でしょう。リヴァルとジノがいるもの」 「ラウンズに何かあれば責任問題ですよ?」 「そんな柔な胃腸していないでしょう」 野戦食よりマシよ、きっと。そう言ってミレイは笑う。そして、それに反論できるものはいない。 「ジノ、成仏しろよ」 ため息とともにこうつぶやくのが精一杯だった。
アリエスに戻ればナナリーだけではなく、何故かユーフェミアをはじめとした妹達がそろっていた。 「何かあったのか?」 思わずルルーシュは顔をしかめる。 「お願いがあるの」 そう言ってきたのはユーフェミアだ。 「私たちでも作れるレベルのチョコレートを使ったお菓子というのがあれば教えてほしいのです」 と言ったのはマリーベルである。 「学校でお友達と交換するんです」 ナナリーもそう言いながらルルーシュを見上げてきた。この三人に関しては納得できる。ユーリアもマリーベルがやるならまねしてみたいのだろう。しかし、カリーナが含まれているのはどうしてか。 「……たまには、そう言う庶民の行事に参加するのもいいでしょう?」 そんなことを考えながら視線を向ければ、彼女はあごを持ち上げながらこう言ってくる。要するに、自分一人だけ仲間はずれにされるのは嫌だと言うことか。 「まぁ、そのくらいならかまわないか」 自分たちも作るから、とルルーシュはうなずく。 「ただし、材料は俺が用意したものだけ。勝手な作業はしない。それだけは約束できるな?」 それならば教えてやろう、とルルーシュは妹達へと視線を向ける。 「特にナナリーとカリーヌとユーリアの三人は火を使うからな。俺かスザクの指示に従え」 出来るか、と問いかけた。 「もちろんです」 即座にナナリーが言葉を返してくる。彼女にとってみればスザクも兄のような存在だからためらう必要はない。 「そうですわね。わたくし達の方が教わる立場ですもの。指示を聞くのは当然ですわ。けがをするようなことがあればそちらの方が問題ですし」 「確かに。士官学校でも教師は貴族だけとは限りません。先達に教えを請うのは当然ですわ」 学校に通っているからか。ユーフェミアとマリーベルもその点はこだわりがないようだ。 「教えてくださる方の言葉はちゃんと聞きなさいとお母様もおっしゃっておられました」 マリーベルの言葉を耳にしたからか。ユーリアはあっさりとうなずいて見せた。こういう素直なところはナナリーとも似ているような気がする。 「……仕方がないわね。失敗するなんて無様なまね、出来ないもの」 でも、今回だけだからね……と続けるカリーヌはいわゆる『ツンデレ』と言うものなのだろうか。 「と言っても材料を用意しなければいけないからな。今日は実際に作るのは無理だぞ」 もっとも、デザインに関しての要望は聞ける限り聞いておいてやろう、とルルーシュは微笑む。 「なら、リビングに移動してからにすれば? お茶を飲みながらの方がいいと思うよ。タブレットがあれば検索も出来るだろうし」 「そうだな。その方がいいか」 参考になるものを見せた方が五人も作るもののイメージを思い浮かべやすいだろう。ルルーシュはそう判断をしてうなずく。 「ルルーシュがその方がいいならそれでいいわ」 ユーフェミアがこう言って微笑む。 「ナナリー。俺たちが戻ってくるまで頼んだぞ」 「はい、お兄さま。お任せください」 ちゃんとおもてなしをしてみせるとナナリーは胸を張る。 「いい子だな」 言葉とともにルルーシュは彼女の髪を軽くなでた。 「すぐ着替えてくる。少し待っていてくれ」 「わかりましたわ」 そう告げる妹達を残して二人はそれぞれの部屋へと向かう。 手早く着替えを終えると、適当なお菓子のレシピ集を本棚から取り出す。 「参考になればいいが」 廊下に出れば、そこにはもうスザクがいた。その手にもカラフルなチョコレートが表紙の本がある。 「考えることは同じか」 「参考にするものは必要でしょう?」 これ、日本語の本だし……と彼は付け加えた。何を言いたいのかと思えば、表紙に『初心者のためのチョコレート菓子』としっかりと書かれてある。 「何でお前がそんなものをもっているんだ?」 「あっちにいたとき、朝比奈さんと千葉さんに巻き込まれただけだよ。藤堂さんを食中毒にするわけにはいかなかったし」 この言葉でだいたいの状況が推測できた。 「そうか。それで、あの子達に出来そうなものはあるのか?」 「見た目が可愛い方がいいんだよね? いくつかあるけど、問題はどこまで道具をそろえるかなんだよ」 シリコン型をそろえられるならロリポップが可愛いと思うが、それも難しいならスプーンに流し込んでデコればいいんじゃないかな。そう言いながらスザクはページをめくる。 「確かにこれなら見目もいいな」 自分が教えようかと思っていたものより、とルルーシュは言う。 「何を教えるつもりだったの?」 「トリュフだ」 「余ったら作ってもらって、マリアンヌさんから陛下にお渡ししてもらえば?」 「……機嫌が良くなるか」 「多分ね」 それで仕事が円滑に進むならそのくらいはしてやるべきだろう。 「ナナリー達次第だがな」 こんな会話を交わしながら彼女たちが待っているリビングへと向かう。 そのままスザクのもっていた本からおすすめのページを見せたらあっさりと同意をしてくれた。シリコンの型に関しては写真のものと似ていればいいらしい。ついでにシャルルへのプレゼントに関しても文句を言わずにうなずいてくれた。 「お父様はお忙しいですから」 「甘いものは疲れているときにいいと聞いたことがあります」 「お母様が『お父様は甘いものがお好きみたい』とおっしゃっておられましたし」 下の三人は本当に素直で可愛い。 「……少し手の込んだものも作りたいですわ」 「ルルーシュ。何かない?」 もっとも、上の二人は少しだけわがままを言ってくる。 「手の込んだものか……何がいいかな」 「……ガトーショコラは? こっちならチョコレートの他は卵黄とミルクだけで作れるみたい」 スザクがそう言いながらページをめくって見せた。 「僕でもなんとか食べられるものを作れたから、ルルーシュが側にいればおいしいものができると思うよ」 神楽耶に付き合わされて作ったんだよね、と付け加えられた言葉で状況がわかった。それは二人も同じだったらしい。 「そういえば、チョコレートを渡すようになったのは日本からでしたわね」 今思い出したというようにマリーベルが言葉を口にした。 「まぁ、大人の都合らしいけど、それでコミュニケーションがとれるならいいかなと、今なら思うよね」 お返しが大変だったけど、とスザクは苦笑を浮かべる。 「そうですわ。皆楽しんで作っているようですもの」 「これでお菓子作りに興味を持つものも多いのだろう。それはそれで将来役立つだろうしな」 悪いことならば禁止されているはずだ。ルルーシュも苦笑とともに言葉を綴った。 「ともかく、型の方は任せてもかまわないな?」 チョコレートや何かは自分の方で手配をするが、とルルーシュは問いかける。 「えぇ。明日、マリーと合流して買ってくるわ」 「オズも一緒に連れていくから、護衛は大丈夫だと思うの。でも、一応、コーネリアお姉様には断っておくわ」 ダールトンの養子達を荷物運びに借りたいから、とマリーは微笑む。 「そうしてくれ。何なら、俺からも頼んでおく」 「お姉様もルルーシュのお願いならきっと許可をくださるわね」 ユーフェミアのこのセリフも何なのか。もっとも、普段の彼女の言動を考えれば当然かもしれない。 「まぁ、ナナリー達も楽しみにしているからな」 とりあえずこう言ってごまかすことにした。
「それで、僕たちは何を作るの?」 四人が帰ったところでスザクがこう聞いてくる。 「シリアルチョコだな。シリアルをチョコに加えて伸ばせばいい。それを切れば人数分はそれほど時間をかけなくてもそろうだろう」 固めている間に次のものも作れるし、とルルーシュは付け加えた。 「そうだね。オーブンを占拠するわけにもいかないか」 「まぁな。あの子達の分ぐらいなら問題ないだろうが」 自分たちの分まではな、とルルーシュは笑う。 「ともかく、試作してみるか」 「そうだね」 買ってきた材料で大丈夫だろう。ついでにマリーベルトユーフェミアが希望しているガトーショコラも手順を確認するために作ってみた方がいいか。もっとも、こちらは一度スザクが作っているわけだが。 そんなことを考えながら必要な材料を調理台に並べた。 「……あっちは大丈夫かな?」 エプロンを着けながらスザクがつぶやく。 「無事であることを祈るしかないだろう」 ミレイとカレンに釘を刺しておいたから大丈夫ではないか。計量に関してはニーナも信用出来る。問題なのは、リヴァルとシャーリーなのだが、とルルーシュはため息をつく。 「ミレイもいい加減懲りればいいものを」 料理は多少失敗してもリカバリーが聞く。しかし、お菓子はそうではないのだと。 「まぁ、俺は手を出さないがな」 「そうだね」 こんな会話を交わしつつも、ルルーシュはチョコレートを刻み湯煎でとかしていく。その間にスザクは生クリームを泡立てていた。 「そのくらいでいいだろう。よこしてくれ」 「じゃ、今度は卵黄とバターを混ぜておくね」 「頼む」 さくさくと進む作業が心地よい。やはりスザクと一緒であれば手順の確認も必要ないから早くできるな。そんなことを考えつつチョコレートと生クリームを合わせていく。そしてそこにグラノーラを入れるとチョコレートでコーティングするようにざっくりと混ぜた。 出来たものをクッキングシートの上に伸ばしていく。 「これだと端の方が無駄になるか」 「いいんじゃない? 喜んで食べる人間がたくさんいるよ。僕とカジノとかジェレミアさんとか」 無駄にはならないはずだ。スザクはそう言い返してくる。 「何なら、マリアンヌさんに渡して下僕にばらまいてもらえば?」 「……それが無難か。予算がないからな」 主に会長のせいで、とルルーシュはため息をつく。 「まぁ、それもいつものことだね。こっちは準備いいよ」 後は役だけ、と言ったスザクの手元にはマフィン型になふぁしこまれた生地がある。 「本当に簡単だな」 「うん。だから、よっぽどのことがなければ失敗しないよ。焼き上がったものにリボンでもつければ可愛いし」 「なるほど。それならば特別になるか」 グラノーラチョコを冷蔵庫に入れながらそう言い返す。 「ナナリー達のも持ち手にリボンをつければいいか」 女の子だからな、とルルーシュはつぶやく。 「それはコゥ姉上から護衛につくだろうダールトンの息子にささやいておいてもらえばいいか」 そう言いながら、オーブンを調整しているスザクの側に歩み寄る。 「大丈夫か?」 「うん。後は焼けるまで放置でいいと思うよ」 さすがにここから先は機械に任せるしかない。 「なら、向こうで茶でも飲むか」 「その前に片付けかな」 スザクの視線が調理台へと向けられる。 「そうだな」 使ったものをきちんと片付けるまでが調理だな、とルルーシュはうなずく。と言っても、さほどないのだが。二人でやればすぐに終わる。 「お茶にしよう」 「うん」 そう言いながらいったん部屋に向かう。 これが失敗だったと気付いたのは、出来たものをすべてマリアンヌに食い尽くされた後でのことだった。
何故、生徒会室がここまで粉だらけなのだろう。 「会長?」 「……袋を開けるときに失敗しただけじゃない」 ミレイはそう言いながら視線をさまよわせている。 「それはかまいませんが、どうしてそのまま放置しているのですか?」 ルルーシュは微笑みながらそう問いかけた。 「手配はしたわよ。ただ、朝までに間に合わなかっただけ」 「自分ですればいいでしょう!」 「そうしたら、もっと悲惨なことになっていたわよ!」 それは胸を張って言うことなのか。そう思わなくもない。 「掃除ぐらいならシャーリーでも出来るでしょう?」 むしろ、彼女の場合、料理よりもそちらの方に才能があると思えるが。ルルーシュはそう続ける。 「シャーリーとアーニャには別のことを頼んでいるから」 さらに視線をさまよわせながらミレイは言葉を口にした。 「何を、ですか?」 絶対これは放置しておいてはいけないものだ。そう判断をしてルルーシュは問いかける。 「何って……」 「ごまかそうとしても無駄ですからね? 必要ならシャーリーを尋問します」 彼女なら素直に教えてくれるはずだ。そう言えば、ミレイはため息をつく。 「何故か、オーブンが爆発したのよ」 「はい?」 「どうしても中心が生焼けになるの。だから、ニーナとリヴァルに頼んで火力を上げてもらおうと思ったんだけど……」 「バカだバカだと思っていたが、あなたがそこまでバカだったとは知りませんでしたよ、会長」 おそらくサーモスタットをいじったのだろう。しかし、そんなことをすれば壊れるに決まっている。 「リベンジ禁止です。あきらめてこちらの手伝いをしてもらいますからね!」 混ぜるぐらいならカレンとニーナとリヴァルにも出来るだろう。シャーリーには切り分けたものを包んでもらうしかない。そう判断をしてルルーシュは言葉を綴る。 「ルルちゃん……」 「いいですね!」 ミレイの言葉を遮るように口調を強めた。 「粉じん爆発しなくて良かったね」 周囲を確認していたスザクがつぶやく。 「これだけの小麦粉の量だとここぐらいの建物、木っ端みじんだったよ」 さすがはスザク。絶妙なタイミングだ、とルルーシュは笑う。 「そう言う事ですよ、会長。いいですね」 「……わかったわ……」 「では、こちらに材料を運ばせます。放課後までにここを使えるよう手配をしてください」 いいですねと彼女を見つめれば首を縦に振っている彼女の姿が確認できた。 しかし、この様子ではどれだけ作れるか。ちょっと不安になってくる。 「泡立て要員にジノも呼び出しておくか」 「それよりもハンドミキサーを用意した方が……」 「シャーリーがいなければな」 彼女の事だ。きっとハンドミキサーも振り回すに決まっている。その破壊力はただの泡立て器の比ではないだろう。 「……触らせなきゃいいだけじゃない?」 「おとなしく言うことを聞いてくれるかどうかだな」 無理だろうな、と異口同音につぶやいたのはそれからすぐのことだった。
ともかく、ミレイとリヴァルにチョコレートを刻ませ、ルルーシュとニーナ──彼女の場合、化学の実験でなれているそうだ──でそれを湯煎し、スザクとジノが泡立てた生クリームをカレンが他の材料と混ぜ、不安だったがシャーリーにクッキングシートの上にそれを伸ばさせた。 途中、あれこれ余計なものを加えようとする者、効率を追及しようとしてラウンズの身体能力を発揮しようとする者、逃げ出そうとする者をしかりつける事が一番疲れたとルルーシュはつぶやく。 それでも、なんとか切る手前まで終わらせることが出来たのは僥倖というところか。 「後は切って袋詰めか」 「それは明日でもいいんじゃないかな?」 「そうだな。あぁ、逃げるなよ? 逃げたメンバーの分の書類は二度と手伝わないからな」 この一言であっさりと逃亡をあきらめるあたり、彼等もあれこれと自覚しているのだろう。 「それと、会長がお望みのあれですが、明日組み立てる直前までのパーツをもってきますから、好きにしてください」 こういうところが『甘やかしている』と言われかねないのだろう。だが、ルルーシュが保管していたあれを見つけたアリエスの女帝が夕べ騒いでくれたので、仕方がなかったのだ。 「ルルちゃん!」 手をチョコレートまみれにしたまま抱きついてこようとしたミレイを、スザクがさりげなく転ばせていた。それを見た他のメンバーが笑いを漏らす。 「会長。ルルーシュに抱きつく前に手を洗ってきてください」 「正論だな」 ルルーシュの言葉にその笑い声はさらに高くなった。
アリエスに戻ると既にナナリー達が待っていた。しかし、彼女たちの分は量もさほど多くなかったので、作業自体は一時間もかからずに終わった。後は固まるのを待つだけでいい。 「……素直に言うことを聞いてくれると言うことがこんなにも心が安まるとは……」 コーヒーを飲みながらルルーシュが思わず本音を漏らす。 「お兄さま?」 「……マリアンヌさんとミレイさんの無茶ぶりが続いているから」 首をかしげるナナリーに向かってスザクがこうささやいている。それだけで納得されるのも何だろう。 「そう言うルルーシュに、少し早めのバレンタインね」 「皆で選びましたの」 「良かったら使ってください」 そう言いながら五人がきれいにラッピングされたつつみを差し出してくる。 「こちらはスザクさんに」 「稽古に付き合ってもらってるから」 さらにスザクにも似たようなものが差し出された。 「ありがとう」 「ありがたく受け取らせていただきます」 これだけで疲れが吹き飛ぶような気がしたのは否定しない。だが、サプライズはこれだけではなかった。 「はい、ルルーシュ。HAPPYバレンタイン」 そう言いながらスザクが長方形の包みを差し出してくる。 「これは?」 「ほしがってたでしょう?」 そう言われて包みを開けた。次の瞬間、タブレット端末が出てくる。 「日本軍が使ってるのと同じ仕様だって。落としても簡単には壊れないから。ついでに付属のケースに入れておけば殴っても大丈夫」 そんな凶悪な仕様でなくても良かったのだが、と心の中でつぶやく。 「ありがとう。俺からの分は帰ってきてからな」 「うん。その後も楽しみにしている」 その言葉の意味を悟って、ルルーシュは頬を赤らめた。
その日、シャルルがものすごく張り切っていた理由は意言わなくてもいいだろう。 そして、何故かアッシュフォード学園高等部では生徒会からのチョコレートをかけて勝負が行われる姿があちらこちらで見られたらしい。
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