何故、こんなことになってしまったのか。
 シーツの上に体を投げ出しながらルルーシュは考え込んでしまう。
 いや、こういう日が来るかもしれない。そう考えていたことは事実だ。しかし、何故、それが今日だったのか。それがわからない。
「……大丈夫か?」
 そんなことを考えていれば、スザクが顔をのぞき込んでくる。
「……体の、あちらこちらが痛くて、だるい……」
 言い返す声も、完全に掠れていた。
「だよな……」
 さんざん、声あげさせた記憶があるし……と、彼はため息を吐く。
 それが何を意味しているのか。ルルーシュも直ぐに思いあたる。その瞬間、彼は真っ赤に染まった。幸か不幸か、人一倍優秀だと言われている彼の脳裏は、あの状況でも何が起こったのかしっかりと記憶していてくれたらしい。だから、自分がどんなことをされたのか。そして何を口走ったのかを、しっかりと思い出してしまったのだ。
 思わず、毛布の中に逃げ込もうか、とすら考えてしまう。しかし、少しでも体を動かせば、全身――その中でも酷いのはある一カ所だが――痛む。そのせいで、迂闊に動けないと言うことも事実だ。
「ってことは、起きあがるのは無理だよな」
 ルルーシュの表情からそれを感じ取ったのか。スザクはこう言ってくる。
 どうして、こう言うときだけ察しがいいのだろうか。いつもはあきれるくらいに空気が読めないのに、とため息すら出てしまう。
「でも、後始末しないと……朝起きたら、もっと辛くなるだろうし……」
 だから、ごめん。そういうと同時に、彼はルルーシュの体を軽々と抱き上げた。体格はほとんど変わらない――と言うよりも、人種的なものなのか。身長だけはルルーシュの方が高い――のに、まったく揺らぎもしないスザクに、少しだけ忌々しさを感じてしまう。
 しかし、この程度はまだ序の口だったらしい。バスルームに付いてから、その事実に気付かされてしまった。
「スザク、お前……!」
 どこに指を、といいながら、ルルーシュは体をよじる。
「だって、中に出しちゃったし……掻き出さないと、起きてからトイレにこもることになるよ?」
 平然とスザクはこう言い返してきた。
「そんなはしたないことを言うな!」
 即座にこう叫ぶ。
「……はしたないって……今時、普通の女の子も言わないぞ」
 って言うか、それ以前の問題があったな、と彼は続けた。その手の知識、まるでなかっただろう、と彼はさらに言葉を重ねる。
「……誰も教えてくれなかったんだから、仕方がないだろうが」
 知らなくても、別に困らなかったし……とルルーシュは言い返す。
「おかげで、俺が困ったけどな」
 しかし、スザクは違う考えを持っていたようだ。
「ちょっとあれこれしようとしただけで、大騒ぎをしてくれるし」
 マリアンヌが仕事でいなくて、ナナリーがオデュッセウスの所に泊まりに言っていたからよかったものの……とため息混じりに言い返される。
「きっと、咲世子さん達にはばれたよな」
 本当に、と彼は続けた。
「……と言うことは、母さんにもばれるのは時間の問題か……」
 多分、反対されることはない。だが、もっと厄介な状況になりそうな気がするのは、きっと錯覚ではないだろう。
「まぁ、その時にはさ。男同士のことだからと言っておくしかないんじゃない?」
 マリアンヌならばごまかせないかもしれないが、咲世子なら納得してくれるのではないか。
「だといいがな」
 ルルーシュがそう言ってため息を吐いた瞬間だ。彼の意識がそれたことを察してスザクの指が動きを再開する。
「ひっ!」
 なんでこれを忘れていたのか。そう思わずにはいられない。しかし、スザクがさらに別の行動に出てくれたおかげで、文句を言うことも出来なくなってしまう。
「やっ!」
「いやだ、って言ったって……こっち、反応しているじゃん」
 このまま放っておく方が辛いかもそれないし、何よりも、こっちだけよりも辛くないはずだから……と内部に侵入させた指をうごめかす。
 こんなことなら、やっぱり夕べ、許可をしなければいけなかった。
 今更、そんなことを言っても後の祭りだろう。本当に、彼とつきあい始めて、何度後悔先に立たずという言葉を実感させられたのか。せめて声を出さないように必死に唇を引き締めながら、心の中でそう呟いていた。

以下、発行予定の本へと続く。