「……ユフィ?」
 何を言い出すのか、とルルーシュは首をかしげる。
「だから、一緒にピクニックに行きましょう」
 お弁当は用意をした。そう言いながら、彼女は小さなバスケットを差し出してくる。
「ピクニックって、どこに?」
 そんなことが許されるのか、と言外に付け加えた。
「クロヴィスお兄さまが、先日、素敵なところを見つけられたそうですわ。太陽宮の中ですから、誰にも怒られません」
 だから、行きましょう……と彼女は微笑む。そこまで言うと言うことは、コーネリアの許可を得ていると言うことだろう。
「わかった」
 それならば、付き合おう……とルルーシュが口にしようとしたときだ。
「ずるいです!」
 言葉とともにナナリーがルルーシュの腕に抱きついてきた。
「ユフィお姉様だけ、お兄さまとお出かけするなんて、ずるいです」
 ルルーシュは自分の兄だ。だから、と彼女は言葉を重ねる。
「あら。ルルーシュはわたくしにとってもお兄さまですわ」
 それに、ユーフェミアは微笑みながら言い返す。
「あなたも、お姉様を『お姉様』と呼んでいるではありませんか」
 だから、ルルーシュを独り占めするのはずるい、とさらに彼女は言葉を重ねた。
「別に、独り占めしているわけではありません」
 即座にナナリーはこう言い返す。必要があれば、ルルーシュの傍にいることも認めているではないか。でも、と彼女は続ける。
「お兄さまが行かれるなら、私も一緒に行きます!」
 それが自分の権利だ、とナナリーはすがりつく腕に力をこめた。
「わたくしは、ルルーシュと二人きりで出かけるつもりでしたわ」
 もちろん、その許可も取った。ユーフェミアはそう言いながら、ナナリーがすがりついているのとは逆の腕に自分のそれを絡めてくる。
「どなたの許可を貰ったと言うんですか!」
 コーネリアでは意味がない、とナナリーは言い返す。
「私が許可をあげたの」
 それにユーフェミアが言葉を返す前に、別の声が割り込んでくる。それが誰のものか、自分だけではなくナナリーもよくわかっているはずだ、とルルーシュは心の中で呟く。
「どういうことですか、母さん」
 ともかく、事実を確認しておかなければいけない。そう思って、ルルーシュは問いかける。そうしなければ、後々、ナナリーがごねることは目に見えているのだ。
「だって、今日は母さんとナナリーはお出かけでしょう? だから、よ」
 ルルーシュが一人でいるよりもユーフェミアと一緒にいてくれる方が自分的には安心できる。その言葉を百パーセント信じられないのは、今までのあれこれをしっかりと覚えているからだろう。
「そう言うことだから、ルルーシュから離れなさいね。ナナリー」
 それには構わずに、マリアンヌはそう言って微笑む。
「どうして、お兄さまだけお留守番なんですか?」
 出かけるときはいつも一緒なのに、とナナリーはさらにこう問いかける。
「お兄さまがお留守番なら、私もお留守番します」
 そうすれば、誰も文句は言わないだろう、彼女はそう付け加えた。
「だぁめよ。あなたがいかないと意味がないの」
 アッシュフォードの関係者が、子供用の新ブランドを立ち上げたのだ。そのお披露目に招かれたのだから、とマリアンヌは口にする。
「ルルーシュは公的な場でドレスを着るわけにはいかないでしょう?」
 ここで着せる分には全然構わないけど、とありがたくないセリフを付け加えてくれた。
以下、発行予定の本へと続く。