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スザクと別れてから、ずっとこの地で彼の帰りを待っていた。 彼女に助けられてからは、不思議と食事に困ることもなくあちらこちら探索をしていたことも覚えてる。 しかし、スザクとともに新たな地へ移住してからは、縄張りの見回りもできなかった。 ひょっとしたら、もう、自分の縄張りは他の誰かのものになっているのだろうか。 そんなことを考えると、今すぐにでも縄張りの点検に行きたい気持ちでいっぱいになってしまう。 でも、と思いながらそっとスザクの足元に歩み寄った。 ここはあそこではないから大丈夫だと思う。それでも、と不安を感じてしまうのは、きっと、あの日々が自分の中で大きなトラウマになってしまっているからだろうか。 「どうしたの、ルル」 すりっと体をすり寄せればスザクが視線を向けてくれる。 「なぁ」 そんな彼の顔を見上げながら、ルルーシュは甘えるように鳴いた。 「何? 出かけてきたいの?」 それだけで、スザクにはルルーシュの言いたいことがわかったのだろう。ふわりとこう問いかけてくる。 「なっ」 頷くように声をかければ、彼は優しく微笑んでくれた。 「いいよ、遊んでおいで。でも、お昼までには帰ってくるんだよ?」 それと、おみやげは女性が嫌がらないものにしてね……と彼はさらに言葉を重ねてくる。 つまり、自分の獲物は持ってくるな……と言うことだろう。 女性とはむずかしいものだな、と思いながらも同意をするように小さく声を上げる。 「ケンカもダメだよ」 念を押すように言葉を口にして、スザクはドアを開けてくれた。 「なぁ」 スザクの足にもう一度体をすりつけてからルルーシュは外へと出る。その瞬間、吹いてきた風の中に懐かしいものを感じた。 特派の宿舎がある場所から枢木神社までは直線で百メートルほどだろうか。もっとも、そこから先が長いのだが。 軽い足取りで所々崩れた石段をあがっていく。 緑が濃いからだろうか。そんな彼の毛並みを撫でていく風はトウキョウ租界のそれよりも心地よいと思えてならない。 だが、ルルーシュにしてみればこの場に知らない匂いがないことの方に安堵を感じていた。どうやら、自分たちの大切だった場所に知らぬ者が勝手に立ち入ってはいないようだ。 それとも、彼女の力だろうか。 ふわりと漂ってきた香りにそんなことも考えてしまう。 「ようやく来たな、ルルーシュ」 崩れかけた拝殿の階段に座っていた彼女が、ルルーシュの姿を認めた瞬間、こう言って微笑んだ。 しかし、どうして彼女はここにいるのだろうか。 つい先日、総督府で姿を見かけたはずなのに、とそうも思う。 「お前とスザクについて来たに決まっているだろう」 自分にとって大切なのはお前達だけだからな……と彼女は付け加える。 しかし、とルルーシュは心の中で呟く。 ならば、彼女にとって《マオ》は何なのだろうか。 「あれは、大切というのとは違うな。拾ってしまった以上、最後まで面倒を見なければいけない……と言うところだ」 それでも構わないと言っていたから、手元に置いて力を与えただけだ。彼女はそうも続ける。 「あれは悪い存在ではないが……やはり、普通の猫だからな」 そこが可愛いのだが、という彼女の言葉に、ルルーシュはそういうものなのか、と納得をした。同時に、女性の思考はよくわからないとも思う。 「女とはそうしたものだ。人間であろうとなかろうと変わらない」 その気持ちを読んだのだろう。こうも言ってきた。 「それよりもルルーシュ」 ふっと思い出した、と言うように彼女は口調を変えて言葉を綴り出す。 「流石に、ここいらではまだまだ和食しか喰えん。スザクに言って、ピザを持ってこさせてくれないか?」 本人が無理なら、デリバリーで頼んでくれるだけでもいい……と彼女は真顔で付け加える。 でも、そのくらいならば大丈夫なのだろうか。 取りあえず、スザクに確認してみよう。そう思う。 「いいこだな、ルルーシュ」 ならば、お礼にいいことを教えてやろう……と彼女は笑った。 「女性への土産なら、そこに咲いている花を持っていけ。それで十分ほめられると思うぞ」 これだけを言い残すと彼女は姿を消す。と言うことは、本気でピザが食べたいだけなのだろうか。それでも、おみやげについて教えてくれたのはありがたい。だから、ちゃんとスザクには伝えよう、と思うルルーシュだった。 「……ピザ、ね」 ここにもピザは運んでもらえるのだろうか。スザクはこう言って首をかしげてみせる。 「セシルさんにでも聞いてみよう」 ルルーシュのおみやげで機嫌がいいから……とそういうスザクに、ルルーシュは微笑んでみせる。 「C.C.の助言が役立ったな」 その表情のまま、ルルーシュはこういう。 「なら、やっぱり必要だよね、ピザ……」 何とかしないと、とスザクは考え込むような表情を作りながらもルルーシュの体をしっかりと抱きしめてきた。 終 BACK 08.02.08移動 |