部屋に戻ってから、マリアンヌ仕込みのトラップをベッドの周囲に張り巡らす。ドアのあたりにしなかったのは、どこからスザクが侵入してくるかわからなかったからだ。
「……必要ないとは思いたいが……」
 スザクだからなぁ、とルルーシュは小さなため息をついた。
「本当に、どうしてあいつは……」
 あんなにも自分に執着をするのか。
 いや、彼だけではなく他の兄弟達もだ。
「ここに来れば、安全だと思っていたのにな……」
 少なくとも、そう言った点では……と呟きながら、ルルーシュはベッドの中に潜り込む。
「でも……相手がスザク一人だ、と言うだけでもましか?」
 彼だけを警戒していればいいから、と寝心地がよい体勢を探しながら口にした。
「多少、手荒なことをしても……文句を言うのはあいつだけだしな」
 既にゲンブ達は多少のことでは文句を言えないと思っているようだ。だから、彼等から何かを言われる心配は少ないのではないか。
 何よりも、とルルーシュはあくびをしながら考える。
 スザクの身体能力は、母やナナリーにも引けをとらないのではないか。ならば、このくらいぐらい何でもないはず。
「母上やナナリー相手には、こんなことは絶対にしないけどな」
 第一、する理由がない。
 むしろ、彼女たちが自分をきょうだい達の魔の手から守ってくれていたのだ。
「……そういえば、これに関してだけは僕の方がナナリーよりも得意だったな」
 ナナリーは、まだ小さいからあれこれ考えるよりも体を動かす方が好きみたいだし。そんなことを考えながら目を閉じる。
 母と妹のことを考えていたからだろうか。安らなかな眠りがすぐに訪れた。

 いったい、自分のどこが不満だというのだろうか。スザクにはルルーシュにここまで嫌われる理由がわからない。
「確かに、俺もルルーシュも男だけどさ」
 でも、そんなことはちょっとした問題ではないか。
「……キセイジジツって奴を作ってしまえば、いいんだよな、要するに」
 朝比奈に相談をしたらそんなことを言っていたから。スザクはこう呟きながら気配を殺して廊下を進んでいく。
 目的地は、もちろんルルーシュが現在使っている部屋だ。
 その手前にも、色々と防犯装置が破損罪している。だが、スザクにはそれはないに等しい。
 第一、ここは自分の家なのだ。
 その自分がどこにいようと誰に文句を言われるいわれはない。
 そう考えながらも、さらに奥へと進んでいく。
 やがて、ルルーシュの部屋の前までたどり着いたとき、彼は足を止めた。
「ルルーシュ! 絶対に、俺の嫁にしてみせるから」
 その決意と共にドアを開く。そのまま、ためらうことなくスザクは室内に足を踏み入れた。
 月明かりだけでも、ルルーシュがどこにいるかは見当が付く。
 壁際に置かれたベッド。
 その上に人が横たわっているような影がある。それがルルーシュであることは間違いないはずだ。
「ルルーシュ」
 彼を起こさないように小さな声でこう呟く。そのまま、足音を忍ばせて歩み寄っていく。
 あと一息で彼に手が届く。
 そう思った、その時だ。
「うわぁっ!」
 何かが肩の当たりに刺さる。次の瞬間、猛烈な眠気がスザクを襲う。
 結局、そのまま、彼は意識を失ってしまった。

 翌朝、いつもの時間に気持ちよく目覚めたルルーシュが何を見たか。それは言うまでもない事実だろう。



BACK





08.12.01移動up