頭が痛い。
 だが、いったいどうして……と思いながら、ルルーシュは目を開いた。
「……どこだ、ここは」
 目の前に広がっているのは見慣れた天井ではない。と言うことは、ここはアッシュフォード学園内にある自室ではないと言うことだ。
 しかし、自分はきちんとベッドの上に寝かされているし――しかも、どう考えても普段使ってるものよりも質がいいものだとしか言えない――拘束されているわけではない。
「……確か、俺はシンジュクにいたはず」
 そこで、クロヴィスの掃討作戦に巻き込まれたのだ。そこで、落ちてきたガレキにぶつかって意識を失ったことも覚えている。
 しかし、それならばどうしてここにいるのだろう。
 そんなことを考えながら体を起こそうとした。
「っ……」
 だが、痛みに阻まれてそれができない。
 それどころか、中途半端な体勢で動くことすらできなくなってしまった。まるでそれを見ていたかのように、誰かがドアを開ける。
「気が付いたようだぞ」
 どこか聞き覚えがある声が耳に届く。そして、そのすぐ後に誰かがこちらに駆けてくる足音も聞こえる。だの足音が刻むリズムにも聞き覚えがあるような気がするのは錯覚だろうか。
「殿下ぁ!」
 そう思っていたときだ。この言葉とともに顔を寄せてきたのは、よく知っている相手だった。
「……ロイド?」
 自分がケガをしていなかったら、あるいはそのまま抱きつかれていたのではないだろうか。そんな気もする。
「はい、僕ですよぉ」
 そういいながら、彼はゆっくりとルルーシュの体をそうっとシーツの上に戻してくれた。
「ダメですよ。取りあえず、脳波等には異常なしと言われていますが、場所が場所ですから慎重にならないと」
 万が一のことがあったら困ります、と彼はまじめな口調で告げてくる。
「ようやく、こうしてお側にいられるようになったんですからぁ」
 僕は、貴方の騎士ですよぉ……と言う彼から視線をそらす。あの日から今まで自分が故意に彼と連絡を取っていなかったことを思いだしたのだ。その気になれば取るための方法はいくつでも考えつくのに、である。
「……あれは、非公式な誓いだっただろう?」
 だから……とルルーシュは呟くように口にした。
「形式なんて関係ありません。僕にとっての王は貴方だけです、殿下!」
 だから、たとえルルーシュがどのような立場にあろうともかまわない。自分は側にいるだけだ……とそう訴えてくる。
「しかし……」
 思わず彼に何かを言い返そうとまた視線を向けた。だが、その瞬間、頭を激しく振ってしまったのか、痛みに襲われてしまう。
「その話はまた後でゆっくりと。今はケガを治すことを優先してください」
 こうして、ルルーシュの側にいられるようになっただけで自分は満足なのだから。そういってロイドは幸せそうに笑う。
「ロイド……」
 そんな彼に何を言い返せばいいのか。ルルーシュはすぐに見つけられなかった。


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08.12.01移動