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アリエス宮襲撃事件で足にケガをしたのはナナリーではなくルルーシュという設定になっています。 大丈夫な方だけはこちらからお進みください。飛ばないときにはスクロールしてくださいませ。 「ノネット!」 やめろ! と騒いでいる声がコーネリアの耳にも届いた。 「……何をしているんだ?」 他のものであれば、あのノネットが相手だからしかたがない……と笑ってすませるところだ。しかし、この声の主は、自分にとっても可愛い異母弟のものである。しかも、あの子は、幼い頃に体の自由を失っている。その事実がコーネリアの中でわだかまりを持っていることも事実だ。 もし、あの日、自分があの離宮を離れなければ、あの悲劇は防げたのではないか。 いや、もしそうだったとしても、あの異母弟にあのような辛い思いをさせずにすんだかもしれない。 そう考えれば、今でも慚愧の念がわいてくる。 「姫様……」 自分が何を考えているのか、わかったのだろう。ダールトンが静かに呼びかけてきた。 「ともかく……確認しなければいけないな」 あのノネットのことだ。ルルーシュの妻になりたくて襲っているわけではあるまい。かといって、彼女がルルーシュを傷つけるはずがない。それがわかっているからこそ、ビスマルクも、今回はルルーシュに彼女をつけてきたのではないか。 では、いったい何をしているのか。 「ついでに、あの子をお茶に誘うか」 こちらに来てからゆっくりと話しもできなかったしな……とそう続ける。 「それがよろしいかと」 もっとも、ルルーシュにして見れば、そのような時間があれば早々に事を終わらせてしまいたい。そう考えているかもしれないが、とダールトンが苦笑と共に付け加えた。 「あの子は、妙なところで真面目だからな」 苦笑を浮かべながら、コーネリアは足早にルルーシュが使っている部屋の前へと進む。元々側まで来ていたのだ。すぐにそこへとたどり着いた。 「ルルーシュ、私だ!」 入るぞ、と声をかける。 「姉上! 助けてください!!」 即座に中からこんな声が返ってきた。 「ルルーシュ?」 その声に、慌ててコーネリアは室内に踏み込んだ。 しかし、室内の光景を見た瞬間、その場に凍り付いてしまう。 「何を、しているのですか?」 ノネット先輩、とコーネリアは何とか口にする。 「……姉上〜!」 そんな彼女に向かって、ノネットに押し倒されていたルルーシュが手を求めるように手を差し伸べていた。 「何って、言われてもなぁ……」 苦笑と共にノネットはルルーシュの衣服をはごうとしていた手を彼から放す。 「ルルーシュ殿下をお風呂に入れて差し上げようと思っただけなんだが」 日常的に車いすを使っているルルーシュは、汗を掻いても他の者のように放っておいて乾くことはない。だから、規則正しくシャワーを浴びて、体を清潔にしなければならないのだ。 これが、自分の宮であれば、何も問題はない。あそこは、ルルーシュが自分一人でもシャワー程度なら浴びることが出来るように設備が整っている。 軍務に着いているときも、普段はビスマルクかジノが一緒にいることが多い。当然、彼等のどちらかがルルーシュの介助をしてくれていた。だから、申し訳なさは感じたことはあっても羞恥を感じることはなかったのだ。 しかし、相手がノネットではそうはいかない。 「だから、自分で出来ると言っている!」 半ば、涙目になりながらルルーシュはこう訴えた。 「無理ですよ。先ほど確認させて頂きましたが、今の殿下ではお使いになれません」 即座にノネットが言い返してくる。 「なら、適当に誰かを呼び寄せればいいだろう!」 男の兵士ならたくさんいるのだから、とルルーシュは口にした。 「それはやめておけ」 だが、彼の主張はコーネリアによって否定されてしまう。 「姉上?」 どうして、とルルーシュは彼女を見上げた。 「完全に信用できぬものに、お前を任せることは出来ん」 その位なら、自分が付き合った方がマシだ……と彼女は言い切る。 「……姉上……ご自分が女性だと言うことを忘れていらっしゃいませんか?」 昔ならともかく、今は……とルルーシュはため息をついた。 「何をおっしゃっているんですか。今更、殿下の裸を見ても何も考えませんよ」 こーんな小さなときから知っているのですから、とノネットは笑う。 「マリアンヌさまのドレスの陰に隠れていたとか、前転が出来なくてうんうんうなっていたとか、何もないところで転んだとか……全部覚えていますよ」 そう考えれば、恋愛の対象などと見えない……と彼女は続ける。それに、ルルーシュは何かを言い返したいのだが、口をぱくぱくさせるのが精一杯だった。 そのまま、周囲を見回せば、壁の所に姉の騎士と副官の姿が確認できる。 「……姉上……」 この二人の手を煩わせるくらいならば、とルルーシュはとっさに言葉を唇に乗せた。 「なら、ダールトンかギルフォードを貸してください」 彼等には不本意かもしれないが、自分にとってはその方がマシだ。言外にそう続ける。 「ルルーシュ殿下がお望みなのでしたら、別に構いません」 流石に気の毒になったのか。ダールトンがこう言ってくれる。 「お前達が構わないのであれば、頼むか」 コーネリアが頷いてくれたことに、ルルーシュは思いきり胸をなで下ろした。 「これからは、ビスマルクかジノ、妥協してマキアーノが一緒でなければ、遠征を拒否させて頂きます!」 ブリタニアに戻った瞬間、ルルーシュはこう宣言をする。 「どうしたのだぁ、ルルーシュぅ!」 彼が今までこのように強い態度に出たことはなかった。その事実に驚きながら、シャルルは問いかける。 「……どうしたのだ、ではありません! 俺は、セクハラを受けるのはごめんです!」 もう、あんな経験はごめんだ! と告げる彼は半ば涙目だ。 「……興奮するでない。また、熱を出すぞ……」 これは、後でコーネリアに確認した方がいいだろう。それよりも、と考えるシャルルは、どう考えても親ばかな父親だった。この場に、他の者達がいなかったことだけが救いだったかもしれない。 BACK 08.12.29up |