パパとルル


「ロロ?」
 少年と共に届けられた書類に目を通し終わったルルーシュが直立不動のままの少年にこう呼びかけた。
「はい」
 感情を感じさせないその言葉が気に入らない。
「ロロか。ルルーシュやナナリーと似ているね、名前も」
 しかし、スザクは違うようだ。にこやかな口調でこんな感想を漏らしている。
「あぁ、それは否定しないが……」
 だが……とルルーシュは言いかけてやめた。代わりにロロの顔を見つめる。
「顔もナナリーに似ているな。年齢も同じか」
 なら、と彼はさらに言葉を重ねた。
「表向きは、弟と言うことにしておこう。俺のことは『兄さん』と呼ぶように」
 ナナリーとロロはどちらが年下になるのだろうか。そう言って首をかしげる。
「ナナリーなら間違いなく自分の方が上だと主張するだろうね」
 自分よりも下のきょうだいが欲しいって言っていたじゃん、と言うスザクにルルーシュも頷いてみせる。
「と言うことで、お前は末っ子決定だ、ロロ」
 こう告げた瞬間だ。彼の表情が初めて動く。それは困惑だろうか。
「……それは、ご命令でしょうか……」
 その表情のまま彼は問いかけてくる。
「命令というわけではないがな。とりあえず、ここにいるためのルールだと思えばいい」
 ただし、それが守れなければここから出て行ってもらう。少し厳しい口調でこう続けた。それは間違いなく、自分たちと変わらない年代なのに、人形みたいな存在になっている彼が気に入らないからだ。
「……僕は……」
 そのようなことは……とロロが呟いている。
「と言うわけで、僕はナナリーを呼んでくるね」
「頼む」
 しかし、それを綺麗に無視をしてルルーシュ達はかってに物事を勧めることにした。
 即座にスザクは部屋から出て行く。
「それで、お前は何が好物なんだ?」
 彼の背中がドアの向こうに消えたのを確認してから、ルルーシュはロロに向き直る。
「……あの……」
 そうすれば、彼が今にも泣き出しそうな表情になっていることもわかった。
「別に、俺たちにとって見れば兄弟の一人や二人、増えても構わない」」
 それに、とルルーシュはさらに言葉を重ねる。
「兄弟なら、一緒にいても疑われないからな」
 この言葉に、ロロは驚いたような表情を作った。
「ただし、きちんと兄弟として過ごして貰うぞ」
 護衛だのなんだのと言うよりも、兄弟としてナナリーを守って欲しい。そう続ける。
「……わかりました」
 どうやら、彼の中での葛藤に決着が付いたのだろう。静かに頷いて見せた。
 もっとも、そのうちに普通の家族のように振る舞えるよう、しっかりと教育してやる……とルルーシュは心の中で呟いている。そうでなければ、意味がないとも。
「と言うことで、お前の好物は何なんだ?」
 今日は歓迎だからな。夕食のメニューはそれにしよう。内心を気付かせないように微笑みながらルルーシュは彼にまた問いかけた。

 数分後姿を現したナナリーによって、ロロがさらなる混乱に陥ったのは言うまでもない事実だった。





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