ルルーシュの悩み ver.2

 今日は舞踏会があるらしい。まだ、公式の場に出る事を許される年齢ではないルルーシュやユーフェミア、そしてナナリーは、マリアンヌやコーネリアの支度の様子を見つめていた。
 綺麗に着飾った母は誰よりも美しいと思う。しかしコーネリアもそれに負けてはいないように思える。そんなことを考えながら、ルルーシュはコーネリアの胸と自分の胸の間を何度も視線をさ迷わせていた。
「どうなさいましたかな、ルルーシュ様」
 姉の騎士であるダールトンがこう問掛けてくる。
「ルルも姉上のようになれるかな」
 可愛らしい声でルルーシュは彼に聞き返した。ユーフェミアはコーネリアと同じ母を持っているからだろうか。既に彼女に負けないくらいになるのではないか、という片鱗を見せている。しかし、自分は……とルルーシュは心の中で呟く。
 ルルーシュの問いかけにダールトンは少し考え込むような表情を作った。
「姫様のようにですか」
「うん。姉上、お綺麗だから」
 ルルも大きくなったらあんなドレスを着たいから、と笑って付け加える。
 彼にしても、コーネリアをほめられれば嬉しいのだろうか。優しげな笑みを口元に浮かべる。
「そうですな」
 その表情のまま、彼は言葉を重ねた。
「ルルーシュ様はマリアンヌ様のお子様ですから、大丈夫ですよ」
 コーネリアほどではないだろうが、きちんと大きくなるだろう。だから、あまり不安になるな。彼はそういってくれた。
「母上のように?」
「そうですよ」
 それはそれで嬉しいかもしれない。ルルーシュはそう考えると、ふわりと微笑んでみせた。

「あのころは、あの言葉を真面目に信じていたんだよな」
 不意に思い出した事実に、ルルーシュは小さなため息をつく。
 現実はどうだったか……と言えば、認めるのも悲しいほどだ。
「結局、ブリタニアはみな、嘘つきだと言うことなのだろうな」
 どう考えても、母はもちろんナナリーにも劣っているようにしか見えない。それが、成長期に十分な栄養が摂取できなかったせいだ、とはわかっている。それでも、何か悔しい。
「だから、絶対に信じるものか」
 ルルーシュがこう吐き出した、その時だ。
「そんな悲しいことを言わないでください、ルルーシュ」
 ユーフェミアの声が耳に届く。
 そうだった。今は、彼女と仲良くサバイバルなんて言うことをしていたのだった……と今更ながらに思い出す。
「大丈夫ですわ! まだまだ、大きくなる余地はあります。いいサプリメントも出ているそうですから、後で届けさせます」
 だから、そんなに悲観的になるな。ユーフェミアはルルーシュを押し倒すようにのしかかってきながらこう口にした。
「ユーフェミア!」
「でも、ルルーシュは今のままでも素敵ですわ。お姉様とは違った意味でりりしいのですもの」
 だから、そんなに悩むことはないのではないか、といいながら、そっとルルーシュの胸の周囲を撫でる。
「あぁ、この下着がいけませんわ。押さえつけては大きくなりません」
 こちらも、後でよいものを届けさせます! と彼女はさらに言葉を重ねた。
「ユーフェミア……いい加減にしろ」
「いやです! しかし、ルルーシュが男でしたら、絶対にお嫁さんにして貰いましたのに」
 それは何なのか! と叫ぶルルーシュの声は、決して彼女の耳には届かなかった。

 その光景を見つめていたスザクが口元を抑えている。その様子に、カレンが冷たい視線を向けていたことに、ルルーシュは最後まで気付いていないようだった。



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08.02.08移動