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恋は戦争?

移菊



「スザク……そのだな」
 ルルーシュがこう言いながら、ベッドの上で後ずさる。
「約束したじゃん」
 そんな彼を逃がすまいと追いかけながらスザクは言葉を口にした。
「ちゃんとできたら、触ってもいいって」
 違った? と首をかしげてみせる。
「確かに、言ったが……」
 どうやら、彼の優秀な記憶力はそのときのことをしっかりと覚えてくれていたらしい。
「しかし、これは違うのではないか?」
 視線を彷徨わせながらさらに言葉を重ねる。
「どこが?」
 意味がわからない、とスザクは聞き返す。
「触っているだけだよ、ルルーシュを」
 その邪魔になるから服は脱がしたが。そう付け加えた。
「それとも、ルルーシュが自分で脱いでくれるつもりだった?」
 もしそうだったのならば、ごめん。そう言ってみる。しかし、その言葉にルルーシュは彼は顔を背けた。と言うことは、やはり、脱ぐと言うことまでは考えていなかったのだろう。
「……まぁ、脱がしちゃったから遅いけどね」
 言葉とともにルルーシュの体の線に沿ってそっと手を動かす。
「んっ!」
 びくっと彼の肩が震えた。
「あきらめて、付き合ってね」
 約束は約束だし、といいながらそっとルルーシュの首筋に唇を寄せる。
「そのためにがんばったんだし」
 本当は跡をつけてみたいけど、さすがにそれはだめだろう。だから、とキスだけにとどめておく。
「スザク!」
「ただのキスだよ」
 そう言うと、今度は舌先でくすぐってみる。
「……こら!」
「触ってるだけだも〜ん」
 別に『手だけ』と約束をした記憶はない。だから、かまわないだろう。そう主張する。
「だが……」
 ルルーシュはまだぐずぐずと何かを言おうとしてきた。
「だがも明後日もないよ。これが普通なんだって」
 まだまだ序の口なのに、とスザクは続ける。
「これで、序の口?」
「そうだよ」
 本当にルルーシュは箱入り息子だったのか。それとも、純粋培養と言うべきなのかもしれない。
 それって、誰が原因なのだろう。マリアンヌでないことだけはすぐにわかるけど、とスザクはため息をつく。
 だから、自分の気持ちを認めたのだろうか、彼女は。
「まだ、ルルーシュの気持ちいいところも何も見つけてないし」
 この気持ちを否定されないだけマシなのか。だが、母親としてはどうなのだろう、と思いつつこう口にする。
「……スザク」
「訳がわからないなら、目をつぶっていればいい。全部、僕がするし……気持ちいいことしかしないから」
 今日は、と笑ってみせる。
「馬鹿」
 自分の方が年上なのに、と彼は呟く。
「うん、わかってる。年上の懐の深さを見せてね」
 そう言うと今度は首筋に頬をすり寄せる。そのまま、彼のあごにキスをした。
「とりあえず、キスしていい?」
「もう、しているだろう!」
「だから、唇に」
 だめ、と問いかけてみる。
「……好きにしろ」
 ルルーシュの言葉にスザクは満足そうに微笑む。
「じゃ、遠慮なく」
 そして、言葉とともに彼の唇を自分のそれで塞いだ。

「んっ……あぁっ!」
 びくびくっと、ルルーシュの体が震える。しかし、自分はそこまで刺激を加えていないような、とスザクは思う。
「まだまだ序の口だよ」
 そう言いながらルルーシュの胸をそっとなで上げる。
「触っているだけだし……」
 本当になでてしかいない。
 さすがに、なめたりかんだりするのはまずいだろう。跡もつけられないよな、とスザクは息を吐き出す。
「……これ、で?」
 嘘だろう、とルルーシュが呟いている。
「本当だよ」
 彼がそんな反応をするのならば、少しだけ進んでもいいのだろうか。
 そう考えると、白い肌の中でそこだけ色を濃くしている場所へと唇を落とす。
「スザク、俺は男だぞ?」
 そんなところを刺激されても、とルルーシュは困惑したように言う。
「大丈夫。すぐに気持ちよくなるから」
 男でも感じるらしいよ、とスザクは口にする。
「そ、ういうものなのか?」
「らしいよ。聞いた話だと」
 実践するのは初めてだから、絶対とは言い切れない。それでも、ルルーシュの表情を見ていればあり得そうだと思える。
 そんなことを考えながら、もう一度そこに指を伸ばす。
「スザク!」
「……やっぱり、ルルーシュ、気持ちよさそうだね」
 そうささやけば、彼はさらに肌を赤く染めた。
「こっちも反応してきたし」
 そう言いながらルルーシュの股間に触れる。
「ひぁっ!」
「こっちも触っていいんだよね?」
 軽くなで上げただけでそこはしっかりと力をみなぎらせた。
「やっぱり、ルルーシュって敏感だよね」
 楽しい、とスザクはささやく。
 同時に、ちょっと辛いかもと思う。スザクだってやりたい盛りの人間なのだ。そろそろ熱をごまかしておくのも限界なような気がする。
 でも、と心の中で呟く。ルルーシュを傷つけるのもいやだ。
 どうすればいいのだろうか。
 ルルーシュにしてもらえればいいのかもしれない。だが、彼にそれを求めるのは無理だろう。
 後は、と熱を逃がすために静かにため息をつく。
 ルルーシュの意識が飛んだところで自分の分と一緒に処理することか。それだけでも十分快感は得られるはず。
 よし、そうしようと決める。
「二人で気持ちよくなろうよ」
「そんな、はしたないことを言うなぁ!」
 完全に真っ赤になりながらルルーシュがこう叫ぶ。
「もっとはしたないことしているのに?」
 笑いながらそう言い返す。同時に、胸はあきらめてルルーシュのそれへと指を絡める。
「第一、最後までしないんだから、そのくらい妥協してよ」
 お願い、と付け加えながら指をゆっくりと動かした。
 手のひらの中で、ルルーシュのそれが熱くなっていく。しかし、限界を迎えようとしたところでスザクは動きを止めた。
 それを何度か繰り返していけば、ルルーシュはあっさりと陥落してくれる。
「……だきょ、うする、から……」
 いかせろ、と彼は叫ぶ。
「うん」
 喜んで、と口にすると、スザクは体の位置を変える。そして、自分の手で二人分の欲望を包み込んだ。

「……お前は……」
 シーツの上にぐったりと体を投げ出しながら、ルルーシュが口を開く。スザクはそんな彼の体をせっせとぬれタオルで拭いていた。
「何?」
 手を止めることなく、彼は聞き返す。
「あんなこと、どこで覚えたんだ?」
「前にも言ったじゃん。士官学校だよ」
 後は、とスザクは笑う。
「マリアンヌさんから借りたDVD」
「はぁ?」
 信じられないとばかりにルルーシュは上半身を起こすとスザクを見つめてくる。
「だから、マリアンヌさんが持っていたホモビデオを借りて勉強しました」
 と言うより彼女が貸してくれました、と続けた。
「何で母さんが……」
 ルルーシュが頭を抱えながらそう呟く。
「何でも、ネコ役の人が陛下のお若い頃にそっくりだったから……らしいけど……」
 そうなのかどうかまではわからない。スザクはそう言う。
「……母さん……」
 そう言いたくなる気持ちもよくわかる。
「マリアンヌさんだし……それも、陛下を愛しているということじゃないかな?」
 そういうことにしておかなければルルーシュたちがかわいそうだ。スザクはそう考える。
「それよりも、また、こう言うことしていいの?」
 とりあえず確認、と問いかけてみた。
「……忙しいときでなければ、な」
 しばらくためらった後で、ルルーシュはこう答えてくれる。
 いやがられなくてよかった、とスザクは安堵のため息をついた。



13.07.11 up
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