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黒の螺鈿図2 この話はナイトメア・オブ・ナナリーに出てきた枢機卿猊下から妄想したネタです。 猊下の設定は出ていないので勝手に妄想中。 取りあえず、うちの場合はC.C.やV.V.のような存在で、ルルとは別人格と言うことで(苦笑 お誕生日企画で書いた「君が生まれた日」及び「黒の螺鈿図 」の続きになります。 大丈夫という方のみ、スクロールをしてください。 今まで、このような失態をしたことはない。 心の中でそう呟きながらも、どうすることもできない。いくら自分でも時間を巻き戻すことなどできないのだ。 不本意ながら、その場にたたずんでいる。 「……いったい、この離宮に何のご用でしょうか」 そんな自分に向かって、彼女――マリアンヌは毅然とした態度で問いかけてきた。もし、己の子供達に害をなすのであればただではすまさない、と彼女の瞳が告げている。 「そんなに威嚇をするな」 苦笑と共に言葉を返す。 「別に、お前の子供達に害を加える気はない」 娘の方はともかく、息子には……と心の中だけで付け加える。あれは自分が待ち望んでいた存在。そして、将来は自分のものになるはずの者。だから、大切に守ろうとは思っていても危害を加えるはずがないだろう。 「ただ、約束を果たしに来ただけだ」 あの子のチェスの相手をすると言うな、と言葉を返す。 「……ルルーシュ、と?」 「あの子は相手をしてくれるものがいなくて寂しそうだったからな」 気まぐれ、だと取りあえず告げておく。 その言葉に、マリアンヌは少しだけ警戒の色を弱めたようだ。 「取りあえず、そのお言葉、信じさせて頂きましょう」 それでも、と彼女は瞳に強い光を浮かべたまま、微笑んでみせる。 「しかし、少しでもそれを違えられたときには、ただではすませません」 自分の全てをかけてでもルルーシュを守ってみせる、と彼女は付け加えた。 「心しておこう」 他の誰かであればせせら笑って終わらせたかもしれない。だが、相手は《閃光》と呼ばれたほどの実力の持ち主だ。何よりも、彼女からは《魔女》の残り香が伝わってきている。それも、濃密に、だ。 あれが関わっているのであれば、下手なことはできない。 「私は、たんに、無聊を慰めてくれる相手としてあの子を選んだだけだ」 今は、とさりげなく付け加える。あの子供は見目はもちろん、チェスの才能も十分に楽しませてくれる。それを育ててみたいと思ったまでのこと、と笑う。 「で、私はあの子との約束を破らなければいけないのかな?」 そろそろ約束した時間だが、と問いかける。 「……どうぞ。後でお茶をお持ち致しましょう」 これが許可の言葉だと言うことはすぐにわかった。 「いや、いい。他のものの目に触れぬ方がよいだろからな」 自分は、と付け加える。そう言うことになれば、あの子供のためにはならないだろう。 「ご心配なく。私がお持ち致しますから」 不必要に人目に触れることはない。そう言ってマリアンヌは笑う。 「……では、お願いしよう……」 いったい何を考えているのか。そうは思うが、今のところは自分に対し危害を加える気配はない。だから構わないか。 何かあったとしても、今の状況であれば大きなダメージを受けることはない。ただ、こちらに出てくるのがむずかしくなるだけだ。 そうなれば、あの子が悲しむか。 ふっと、そんなことを呟いてしまった。 離宮外ではあれこれ蔑まれているらしい。しかし、それを子供達に微塵も感じさせないのは立派だ、と思う。 しかし、情勢はさらに悪化しているように感じられる。 「……無意識に煽っていないか?」 マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア……と思わず呟く。 今はまだいい。 子供達は二人とも、あの狭い離宮内を全てだと思っている。だが、いずれはあの世界では飽き足らなくなるだろう。その時、彼女の手が届くとは限らないのだ。いや、胃までも既にこの離宮内ではあの子供達には狭くなってきているのではないか。 「やはり、離宮外に協力者が必要だな」 自分のものになる前にあの存在が失われては意味がない。 「……やはり、あの男か?」 一つの面影を思い浮かべながらそう呟く。 未だに、何を考えているのかわからない。 ルルーシュ達を可愛がっているようだが、それがどこまで本心からのものでどこまでが計算されたものなのかが判断できない。 「ある意味、あの男が一番シャルルに似ているからな」 目的のためであればどのような手段を執っても構わない。そう考えるところが、だ。 もちろん、二人が採っている方法は違う。その見た目に、誰もが騙されているように思える。しかし、本質はそっくりだ。 だからこそ、信頼はできない。 それでも、ルルーシュを守るためには妥協するしかないのではないか。 そう判断をする。 「問題は、何を交換条件に出すか、だな」 自分の躰は問題外だ。 もちろん、ルルーシュのそれも、である。 自分たちの躰はお互いのためのもの。その時まで余計な手あかを付けるわけにはいかないのだ。 では、他に何を提示すればいいのだろうか。 「……将来、か?」 あの男がていいを狙っているのかどうかはわからない。それでも、自分の協力はあの男が思い描いている未来のためにはプラスになるだろう。 何よりも、自分にはそれを現実に変えるだけの力がある――いや、自分たちには……と言い直すべきだろうか。 「受け入れぬだけならば、消すだけだ」 小さな嗤いと共にこう呟く。 傀儡にしてしまえば、好きなように動かせる。必要なのは、あの子の安全の確保なのだから。 そんなことを考えながら、意識を外へと向けた。 BACK 08.02.18up |